娯楽の基本書

東京大学大学院法学政治学研究科在学中。司法試験、予備試験、ロー入試攻略サイト(途上)。

事例演習刑事訴訟法

事例演習刑事訴訟法 設問31

1.「保護責任者遺棄又は死体遺棄」との択一的な認定では「被告事件について犯罪の証明があつた」(刑事訴訟法(以下略)333条1項)といえず、利益原則に反しないか。 (1)当事者主義的訴訟構造(256条6項、298条1項、312条1項)の下、審…

事例演習刑事訴訟法 設問30

1.本件同項では、Kは嫌がるXを無理やりパトカーの後部座席に押し込み、警察署に同行しており、Xを実質的には令状(刑事訴訟法(以下略)199条1項本文)なしで逮捕していることになる。よって、本件同行は令状主義に反し違法である。 2.一方で、Xは尿…

事例演習刑事訴訟法 設問28

1.本件書類は違法収集証拠排除法則によって排除されないか。 2.まず、確かに本件では捜索差押許可状(刑事訴訟法(以下略)218条1項本文)は発付されているため、令状発付なしでの捜索差押えという令状主義違反はない。しかし、Kは令状の提示をして…

事例演習刑事訴訟法 設問27

第1.(1)について 1.本件では、甲の証言の「証明力を争う」(刑事訴訟法(以下略)328条)ために別人である乙の供述を録取したKの供述録取書が請求されており、同書が「証拠」(同条)に含まれるかが問題となる。 (1)同条の趣旨は、供述者の供述…

事例演習刑事訴訟法 設問26

第1.(1)について 1.乙の手帳は「公判期日における供述に代」わる「書面」(刑事訴訟法(以下略)320条1項、以下、伝聞証拠)といえ、証拠能力が否定されないか。 (1)同項の趣旨は、知覚・記憶・表現・叙述の各課程を経る供述証拠ではその間に…

事例演習刑事訴訟法 設問24

1.本件領収書について 本件領収書は「公判期日における供述に代」わる「書面」(刑事訴訟法(以下略)320条1項、以下、伝聞証拠)といえ、証拠能力が否定されないか。 (1)同項の趣旨は、知覚・記憶・表現・叙述の各課程を経る供述証拠ではその間に…

事例演習刑事訴訟法 設問23

1.本件のWの証言は、「公判期日外における他の供述を内容とする供述」(刑事訴訟法(以下略)320条1項、以下、伝聞証拠)といえ、証拠能力が否定されないか。 (1)同項の趣旨は、知覚・記憶・表現・叙述の各課程を経る供述証拠ではその間に誤りが混…

事例演習刑事訴訟法 設問22

1.本件では、有効な旅券等を所持しないで本邦に上陸した事実について補強証拠を欠き、被告人の自白及び本邦に在留した事実の補強証拠のみで被告人を有罪とすることは、補強法則(刑事訴訟法(以下略)319条2項、憲法38条2項)に反し、「訴訟手続」…

事例演習刑事訴訟法 設問21

第1.覚せい剤について 1.本件では、KがXに対して説得したところ、XはB方に覚せい剤があることを自白し、B方で覚せい剤が差し押さえられている。ここで、Xの自白が「任意にされたものでない疑のある自白」(刑事訴訟法(以下略)319条1項)といえ、X…

事例演習刑事訴訟法 設問20

1.本件では、KはXに対して「確実に不起訴にしてやるから」と申し向けた結果、XはCからの10万円の受取りを自白している。ここで、Xの自白は「任意にされたものでない疑のある」(刑事訴訟法(以下略)319条1項)ものといえ、証拠能力が否定されないか…

事例演習刑事訴訟法 設問19

1.本件では、被告人の否認する6件のベンツに対する器物損壊事件において、被告人の否認する4件のベンツに対する器物損壊事件についての事実という類似事実を用いることができるかが問題となっている。ここで、類似事実証拠の証拠能力が問題となる。 (1…

事例演習刑事訴訟法 設問16

1.本件では、過失運転致死罪の訴因を犯人隠避罪の訴因へ変更する許可が請求されており、両者の訴因に「公訴事実の同一性」(刑事訴訟法312条1項)が認められるかが問題となる。 (1)同項の趣旨は、1個の刑罰権に服する事項につき、2個以上の訴因が…

事例演習刑事訴訟法 設問15

1.本件では、住居侵入罪・窃盗罪の共同正犯(刑法60条、130条前段、235条)についての訴因が掲げられた状態で、その幇助(同62条1項)の事実を認定できるか。訴因変更(刑事訴訟法(以下略)312条1項)がいつ必要になるかが問題となる。 (…

事例演習刑事訴訟法 設問14

第1.設問1 1.本件訴因は特定されているか(刑事訴訟法(以下略)256条3項参照)。 (1)訴因の機能は、裁判所に対して審判対象を画定し、その範囲でのみ被告人に対して防御範囲を明示する点にある。そうすると、訴因が特定されているといえるには…

事例演習刑事訴訟法 設問12

1.まず、「被疑者」乙は、「弁護人」甲と接見できる(刑事訴訟法(以下略)39条1項)。 2.もっとも、Pによる本件接見指定は「公訴の提起前」であるとしても、「捜査のため必要があるとき」という要件を満たすか(同条3項本文)。 (1)同本文の趣旨…

事例演習刑事訴訟法 設問11

第1.おとり捜査への該当性 1.おとり捜査とは、捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働き掛け、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙する捜査手法をいう。 2…

事例演習刑事訴訟法 設問10

第1.(1)について 1.本件では、KがGという「被疑者を逮捕する場合」(刑事訴訟法220条1項柱書前段)といえる。また、GとXがいたのは411号室という「逮捕の現場」(220条1項2号)である。もっとも、Gが逮捕された場合に第三者Xの身体を捜索…

事例演習刑事訴訟法 設問9

1.本件では、捜索差押許可状(刑事訴訟法(以下略)218条1項本文)に基づかないで天秤、注射器、ビニール袋(以下、本件対象物)を差し押さえているため、同本文のみによれば違法である。 2.もっとも、KはXを覚せい剤所持の現行犯人(212条1項、…

事例演習刑事訴訟法 設問8

第1.BからのUSBの捜索について 1.本件では、A会の東京本部事務所に対する捜索差押許可状(刑事訴訟法(以下略)218条1項)が発付されており、これに基づいてKはBからUSBを捜索できないか。令状による捜索差押えの範囲が問題となる。 (1)令状主義…

事例演習刑事訴訟法 設問7

1.「東京都…所持品」との記載は、「捜索すべき場所、身体若しくは物」(刑事訴訟法219条1項)の記載として適法か。 (1)同項の趣旨は、令状裁判官による実質的認定を確保し、無差別的な捜索差押がされることを防止するために特定性を要求する点にあ…

事例演習刑事訴訟法 設問6

第1.(1)について 1.本件では、形式的には逮捕・勾留の要件を満たしている(刑事訴訟法(以下略)199条1項本文、同2項但書、207条1項本文、60条1項各号、87条1項)。もっとも、本件では殺人事件について取り調べる目的で窃盗罪の逮捕状…

事例演習刑事訴訟法 設問5

第1.B事実について 1.本件ではXはA事実で逮捕・勾留され、その保釈中に重ねてB事実で逮捕・勾留されている。ここで、B事実での逮捕・勾留は重複逮捕・重複勾留禁止の原則に抵触しないかが問題となる。 (1)203条ないし206条又は208条が厳格な…

事例演習刑事訴訟法 設問4

第1.(1)について 1.Xは「現行犯人」(213条)といえ、本件現行犯逮捕は適法ではないか。 2.Xは本件強盗事件の「現に罪を行い終わつた者」(212条1項)といえないか。 (1)現行犯逮捕の趣旨は、逮捕の必要性が高い一方、嫌疑が明白であるた…

事例演習刑事訴訟法 設問3

1.本件取り調べは「強制の処分」(刑事訴訟法(以下略)197条1項)にあたり、実質的逮捕であったため、令状主義(199条1項本文、憲法33条1項)に反し、違法とならないか。 (1)現行刑訴法の「強制の処分」は憲法33条、35条が保障する権利利益…

事例演習刑事訴訟法 設問2

1.本件では、XとYは警察官を見て急にもと来た道を急ぎ足で戻るという不審な行動をしているため、「何らかの犯罪を犯し」た「と疑うに足りる相当な理由」(警察官職務執行法(以下、警職)2条1項)があり、KとLの本件職務質問は適法である。 2.KがXの右…

事例演習刑事訴訟法 設問1

第1.(1)について 1.本件では、KはXの容貌を望遠レンズと赤外線フィルムを用いて撮影している。同撮影行為は「強制の処分」(刑事訴訟法(以下略)197条1項但書)にあたり、法律の根拠規定を要しないか。 (1)現行刑訴法の「強制の処分」は憲法3…