娯楽の基本書

東京大学大学院法学政治学研究科在学中。司法試験、予備試験、ロー入試攻略サイト(途上)。

中大2020民法再現

第1.設問1

1.(ア)について

 AのCに対する所有権に基づく甲カメラの返還請求権に対して、Cは甲カメラを即時取得民法192条)したと反論することが考えられる。その要件は、①「取引行為」、②①に基づく引き渡し、③「平穏」「公然」、④「善意」、⑤無「過失」である。

 Cは甲カメラを売買契約(555条)という「取引行為」(①)に基づいて、甲カメラを持ち帰って引き渡しを受けている(②)。Cの「平穏」「公然」は推定され(186条1項)、本件では強暴・隠避に関する事情はない。よって、③といえる。Cの「善意」も推定され(同項)、BC間で甲カメラの売買契約の際には現在の所有者が誰であるかの説明はされなかった。よって、悪意に関する事情はなく、④といえる。もっとも、甲カメラは300万円と高額である。このような高額な商品の買主には、その商品を誰が所有しているかについて調査する注意義務があるといえる。それにも関わらず、本件ではCはBに対して甲カメラの所有者を訊いておらず、注意義務の違反がある。よって、有「過失」といえ、⑤といえない。

 以上から、(ア)の構成は認められない。

2.(イ)について

 Aの上記請求に対して、Cは権限外の行為の表見代理(110条)の成立を主張することが考えられる。その要件は、①代理権の存在を信じたこと、②「正当な理由」、③基本代理権の授与である。

 本件では、確かにBはAが海外出張中はAの写真のスタジオの管理を任されていたため、基本代理権はある(③)。しかし、上記調査確認義務の懈怠があるCはBが甲カメラを売却する代理権を有する権限を有すると信じた(②)としてもそれに「正当な理由」はない。よって、(イ)の構成は認められない。

第2.設問2

1.本件では、BはAから甲カメラを売却する権限を有していなかったため、甲カメラの売却は無権代理にあたる。もっとも、本件ではCに対しその売却を承認しており、「追認」(113条1項)している。そこで、遡及効(116条本文)によってAC間に甲カメラの売買契約が締結されたことになり、Bの総裁は許されないのではないか。もっとも、Bは「第三者」(同但書)にあたり、追認が制限されないか。

(1)同項の趣旨は、無権代理から生じる外観を信頼したものを保護する点にある。そうすると、無権代理の事実を知っていた者は保護に値しないため、「第三者」に含まれない。

(2)本件では、Cは甲カメラがAの所有物であることを写真雑誌で知っており、Bの無権代理の事実を認識していた。よって、Bは「第三者」といえず、追認は制限されない。

2.以上から、AC間に売買契約が成立し、CはAに300万円を支払えばよい。

(※1.本件では、Bは甲カメラを売却する権限を有しておらず、Bが所有する物であると説明し自己を当事者として売却しているため、本件売買は他人物売買(561条)にあたる。もっとも、Aは本件売買契約を喜んでおり、Cに対して「追認」(116条本文)している。そうすると、本件売買契約は「さかのぼって」(同条本文)AC間に帰属していたことになるのか。

(1)他人物売買が行われた場合、無権利者の相手方は無権利者に対して抗弁を主張する機会が与えられる。このような権利を奪うことは不当であるため、他人物売買を権利者が追認しても、他人物売買の債権債務関係は権利者に帰属しないと考える。

(2)本件でも、Aが上記のように追認したとしても、Aに本件売買に関する債権債務関係は帰属しない。

2.そうすると、本件売買に関する債権債務関係はBC間に帰属するため、CはBに対して300万円を支払えば足りる。)

以上