娯楽の基本書

東京大学大学院法学政治学研究科在学中。司法試験、予備試験、ロー入試攻略サイト(途上)。

慶応2015商法

第1.設問1

1.事前の措置について

 本件では、XはAに代わってY社の経営に当たることを決意しており、Aは株主総会で「取締役」(会社法329条1項)に選任してもらう必要がある。もっとも、丙性26年6月27日のY社の株主総会では現在の取締役5名選任が「目的」(298条1項2号)となっている。「監査役会設置会社」(327条1項2号)であるY社は取締役会設置会社である(同条柱書)ため、「目的」でないXの選任を同株主総会でアは決議できない(309条5項)、そこで、XはXの選任という議題を提案しておく(303条1項)ことが考えられる。Y社では「取締役会設置会社」であるため同条2項本文の適用があるが、XはY社の株式2000万株中800万株という「百分の一…以上」を有し、単元未満株式数100であるY社株式を80万株有するため、8000万株という「三百個…以上の決議賢」も有する。平成20年から平成26年6月27日は「六箇月」以上の期間である。よって、議題提案権権は認められる。

 また、「八週間…前までに」(305条1項本文)、同項但書の要件を満たすXは議案通知請求をすることも考えられる。

2.当日の措置について

 当日にXは事前に提案したX選任という議題について、選任についての議案を提出することが考えられる(304条1項本文)。

第2.問2

1.Zの株主総会決議取消訴訟(831条1項)でも取消請求は認められるか。

 Zは「株主」(同条柱書前段)であるため、「三箇月以内」に、Y社を被告として(834条17号)訴訟を提起できる。

2.本件ではAはZの発言を遮っており、「必要な事項」(314条本文)の説明はされていないといえ、「決議の方法が法令…に違反」(831条1項1号)といえないか。

(1)314条本文の趣旨は、株主の議決権行使の際の判断資料を提供する点にある。そうすると、「必要な事項」とは、平均的な株主が議決権行使をする際に合理的な判断をするために客観的に必要な範囲の事項である。

(2)本件では、Y社の経営の効率性について、「例えば」とZが具体的例を出そうとしている。平均的な株主は具体例を聞くことで合理的判断ができるようになるのだから、Zが言おうとしたことは「必要な事項」である。それにもかかわらずAは「事業報告に記載してあるとおりです。」といったのみでそのことについての説明はない。よって、314条本文の説明はされていない。同条但書の事情もない。

3.裁量棄却もない(831条2項参照)。

4.以上から、請求は認められる。

以上