娯楽の基本書

東京大学大学院法学政治学研究科在学中。司法試験、予備試験、ロー入試攻略サイト(途上)。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

事例演習刑事訴訟法 設問3

1.本件取り調べは「強制の処分」(刑事訴訟法(以下略)197条1項)にあたり、実質的逮捕であったため、令状主義(199条1項本文、憲法33条1項)に反し、違法とならないか。 (1)現行刑訴法の「強制の処分」は憲法33条、35条が保障する権利利益…

事例演習刑事訴訟法 設問2

1.本件では、XとYは警察官を見て急にもと来た道を急ぎ足で戻るという不審な行動をしているため、「何らかの犯罪を犯し」た「と疑うに足りる相当な理由」(警察官職務執行法(以下、警職)2条1項)があり、KとLの本件職務質問は適法である。 2.KがXの右…

事例演習刑事訴訟法 設問1

第1.(1)について 1.本件では、KはXの容貌を望遠レンズと赤外線フィルムを用いて撮影している。同撮影行為は「強制の処分」(刑事訴訟法(以下略)197条1項但書)にあたり、法律の根拠規定を要しないか。 (1)現行刑訴法の「強制の処分」は憲法3…

twitter社に対する、なりすまし加害者の携帯番号の開示請求が認められた。

インターネットで2ちゃんねるが普及したころ、管理人であるひろゆき氏に対する民事訴訟が提起されたことがあった。あるサイトにおいて誹謗中傷等の権利侵害が発生した場合、そのサイトの管理人に責任を押し付けるのは不当である。このような見地から平成1…

東大で2カ月オンライン授業を受けてみた感想

東大のロースクールで授業が始まって、2カ月が経過した。この2か月間で私は、オンライン授業という未だかつて日本の学校が実践したことのない試みに対して、いくつかのことについて発信したいと思うに至った。そんなわけで、今日は、一学生の僕から見たオ…

予備試験H28民法

1.DのBに対する40万円の請求 DのBに対する他人物売買(民法(以下略)560条)の担保責任(561条但書)に基づく損害賠償請求権は認められるか。本件では、遺贈(964条本文)によってCは子機械の所有権を取得している。本件売買契約ではCではない…

予備試験H28民事訴訟法

第1.設問1(1) 1.弁論主義とは、判決の確定に必要な資料の収集・提出を当事者の責任・権能とする建前である。趣旨は私的自治の訴訟法的反映、機能は相手方への不意打ち防止にある。これら2つから、裁判所は当事者の主張しない事実を判決の基礎として…

予備試験H28民事実務基礎科目

第1.設問1 1.(1)について (1)本件では、民事保全法(以下、民保)53条の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分と、民保25条の2の占有移転禁止の仮処分の2つの命令(民保2条1項)を行うことを裁判所に申し立てる(民保13条1項)…

予備試験H28商法

第1.設問1 1.本件では、CがAの名義を代理方式ではなく機関方式で乙社に振り出している。また、Cに対する請求ではなく甲社に対する請求であり、手形法77条2項の準用する8条の適用ないし類推適用はできず、振出は無効である。もっとも、丙社の保護を民…

予備試験H28行政法

第1.設問1 1.本件処分の取消訴訟の継続中に営業停止期間が満了した場合、「回復すべき法律上の利益」(行政事件訴訟法(以下、行訴)9条1項)が認められないのではないか。 (1)取消訴訟の目的は処分の法効果を否定することにあるため、その処分の…

予備試験H28憲法

1.本件条例はXのようなNPO法人の消極的表現の自由(憲法(以下略)21条1項)を侵害し、違憲である。 (1)同項は、表現の自由を保障している。表現とは内心の表出行為であるから、ある見解を表明する自由が同項によって保障される。そうすると、その見…

予備試験H28刑法

第1.X発火装置を発火させて床板を燃やした行為について 1.甲・乙との間に現住建造物等放火罪(刑法(以下略)108条)の共同正犯(60条)が成立しないか。 (1)「放火」とは、目的物の「焼損」を惹起させることをいい、「焼損」とは、火が媒介物を…

予備試験H28刑事訴訟法

第1.設問1 1.再逮捕について 甲は平成28年3月23日、本件被疑事実で逮捕されているため、①の同一被疑事実につき時を異にして逮捕する再逮捕にあたる。ここで、このような再逮捕の適否が問題となる。 (1)再逮捕を全面的に許容すると、刑事訴訟法…

予備試験H28刑事実務基礎科目

第1.設問1 1.殺意とは、自己の行為によって客体である人が死亡することの認識・認容である。 2.本件では、凶器である拳銃の使用法は乙組玄関付近をねらって打ったというものである。乙組玄関は防弾使用であり、玄関を貫通して中にいる者に危害が加わ…

予備試験H27民法

第1.設問1 1.FのBに対する所有権に基づく返還請求権としての甲建物の明渡請求権は認められるか。①F所有、②B占有が請求原因となる。本件では、Bは甲建物で工芸品の製作をしながら、現在、甲建物を占有している(②)。そして、本件ではAB間で本件贈与契約…

予備試験H27民事訴訟法

第1.設問1 1.判例は実体法上の請求権ごとに訴訟物を異にするという旧訴訟物理論をとっている。ここで、財産的損害は民法709条、精神的損害は710条に規定されてあるため、両損害の賠償請求権は民法上請求権を異にし、訴訟物を異にするとも思える。…

予備試験H27民事実務基礎科目

第1.設問1 1.(1)について (1)被告は、原告に対し、本件土地について、平成26年9月1日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ。被告は、原告に対し、本件土地を引き渡せ。 (2)本件ではXはY「代理人」(民法99条1)Aとの売買契約(民…

予備試験H27商法

第1.設問1 1.(1)について EのA・Cに対する会社法(以下略)429条1項に基づく損害賠償請求権は認められるか。①「役員等」、②任務懈怠、③「悪意又は重大な過失」、④「第三者」の「損害」、⑤②④の因果関係が要件となる。 (1)AはX社の代表取締役で…

予備試験H27行政法

第1.設問1 1.本件指定は「行政庁の処分」(行政事件訴訟法(以下略)3条2項)に当たり、処分性が認められないか。 (1)「行政庁の処分」とは、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為の内、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまた…

予備試験H27憲法

第1.設問1について 1.私は、憲法(以下略)98条、76条3項、99条から違憲審査権は抽出されないと考える。以下理由を述べる。 2.98条について 違憲審査権の効用は、憲法適合性の審査である(81条)。そして、98条は確かに「効力を有しない…

予備試験H27刑法

第1.甲の罪責 1.甲が用度品購入用現金から50万円を取り出して丁に渡した行為について、業務上横領罪(刑法(以下略)253条)の共同正犯(60条)が成立しないか。 (1)「業務」とは、社会生活上反復継続して行われる事務であり、委託を受けて物…

予備試験H27刑事訴訟法

第1.設問1 1.まず、①②③が「強制の処分」(刑事訴訟法(以下略)197条1項但書)にあたり、法律の根拠規定を要しないか。 (1)現行刑訴法の「強制の処分」である逮捕(199条1項)、捜索、差押え、検証(218条1項)は、憲法33条、35条が…

予備試験H27刑事実務基礎科目

第1.設問1 1.(1)について ③意見は、類型証拠開示(刑事訴訟法(以下略)316条の15第1項)を受けた後の公判全整理手続におけるものである。よって、316条の16第1項に基づいて、③のような同意、意義の有無を明らかにする必要がある。 2.…

中大ロー ステメン

1.私が弁護士を目指したきっかけ 私が弁護士目指した動機は、弁護士という職業への興味と、環境である。私は高校時代に、弁護士である先輩の業務に関するお話を聞ける機会があった。そこで、弁護士の業務内容に興味を持つようになった。それからは、弁護士…

中大2020民法再現

第1.設問1 1.(ア)について AのCに対する所有権に基づく甲カメラの返還請求権に対して、Cは甲カメラを即時取得(民法192条)したと反論することが考えられる。その要件は、①「取引行為」、②①に基づく引き渡し、③「平穏」「公然」、④「善意」、⑤無「…

中大2020民訴再現

第1.設問①について 1.本件では、Xは本訴を提起しているにもかかわらず、本訴債権を自動債権とする相殺の抗弁を別訴で提出している。この相殺の抗弁は「訴え」(民事訴訟法142条)にはあたらないが、同条を類推適用できないか。 (1)同条の趣旨は、…

中大2020商法再現

第1.設問(1) 1.前提として、甲会社の乙会社からの5億円の借入れ(以下、本件借入れ)は「多額の借財」(会社法362条4項2号)にあたり、甲社では取締役会決議を要しないか。 (1)「多額」であるかは個別的事情を考慮して判断せざるを得ないた…

中大2020憲法再現

第1.設問1 1.本件不許可処分はXらの集会の自由(憲法21条)を侵害し、違憲といえないか。 (1)「集会」とは、不特定多数者が一定の場所において事実上集まる一時的な集合体である。「やっぱりいらない東京オリンピック全国総決起集会」(以下、本件…

中大2020刑法再現

第1.乙の罪責 1.乙がAの頸部を押さえつけて死亡させた行為について、傷害致死罪(刑法205条)が成立しないか。「傷害」とは、人の生理機能を侵害することをいう。本件では、乙はAの頸部の生理機能を侵害しており、「傷害」といえる。また、Aは「死亡…

中大2020刑訴再現

第1.2項の取調べについて 1.同取調べによる身柄拘束は「強制の処分」(刑事訴訟法(以下略)197条1項但書)である実質的逮捕にあたり、令状発付のない本件では令状主義(199条1項本文、憲法33条)違反とならないか。 (1)現行刑訴法の「強…