娯楽の基本書

東京大学大学院法学政治学研究科在学中。司法試験、予備試験、ロー入試攻略サイト(途上)。

中大2020憲法再現

第1.設問1

1.本件不許可処分はXらの集会の自由(憲法21条)を侵害し、違憲といえないか。

(1)「集会」とは、不特定多数者が一定の場所において事実上集まる一時的な集合体である。「やっぱりいらない東京オリンピック全国総決起集会」(以下、本件集会)は参加する数百人という不特定多数者がB中央公園に集まる一時的な集合体であり、「集会」といえるため、Xらには本件集会をする自由が認められる。

 確かにXらは本件集会を他の場所では開催できるため、本件不許可処分はXらの集会の自由を制約しないとも思える。しかし、A県公園は伝統的に集会が行われてきた場所であるため、A県で集会を行うことができることは原則である。本件不許可処分はこの原則形態を否定するものとして、Xらの集会の自由を制約する。

(2)Xらは以前から東京オリンピックに反対しており、Xらは東京オリンピックに対して不満を持っているといえる。本件集会を開催することができれば、Xらは通った聖火リレーに対してその不満をぶつけることができるため、Xらは自己の人格を発展させることができる。また、本件集会を開催することができれば、観客のSNSを通じて、Xらは反対意見を対外的に表明することができる。よって、本件集会の自由は重要である。また、設問2と異なって本件不許可処分は集会の開催を一切許さないものであるため、制約は重大である。

(3)そこで、本件不許可処分が許されるほどに「公園の管理運営上支障があると認められるとき」(A県公園管理条例)といえるには、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予測される場合でなければならない。

(4)確かに本件集会は数百人という大規模で開催されるため、東京オリンピックを歓迎する人々との衝突が生じれば大混乱が生じ、危険の発生は予想されるといえる。しかし、東京オリンピックを熱烈に歓迎する人々が集まることを基礎づける事実はなく、その予想は確実な根拠を欠くといえる。よって、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されるとまで言えないため、「支障」といえず、本件不許可処分は許されない。

第2.設問2

1.本件条件付許可処分はXらの集会の自由を侵害し、違憲とならないか。

(1)設問1と同様に、Xらには本件集会をする自由が保障される。また、それらへの制約が認められる。

(2)設問1と同様に、本件集会の自由は重要である。また、確かに本件集会は、聖火リレーが通る時間帯に開催することを内容とするため、集会の開催を聖火リレー終了1時間遅れとする本件条件付許可処分は、本件集会の自由を強く制約するとも思える。しかし、集会の開催時間を2時間遅らせるというものであり、Xらの集会の開催自体を妨げるものではない。そうすると、Xらへの集会の自由への制約は重大ではないといえる。

(3)そうすると、本件条件付許可処分が許されるほどに「支障」があるといえるには、集会を開催すれば危険が生じる高度の蓋然性があれば足りる。

(4)確かに上記のように危険発生は根拠を欠き、危険発生の蓋然性はないとも思える。しかし、聖火リレーを見に来た観客の警備が難しくなることは予想されており、少しでも賛成・反対派の衝突が生じれば混乱の防止難しくなるといえる。よって、危険発生の高度の蓋然性はあるといえる。したがって、「支障」といえ、本件条件付許可処分は許される。

以上