娯楽の基本書

東京大学大学院法学政治学研究科在学中。司法試験、予備試験、ロー入試攻略サイト(途上)。

東大で2カ月オンライン授業を受けてみた感想

 東大のロースクールで授業が始まって、2カ月が経過した。この2か月間で私は、オンライン授業という未だかつて日本の学校が実践したことのない試みに対して、いくつかのことについて発信したいと思うに至った。そんなわけで、今日は、一学生の僕から見たオンライン授業について書こうと思う。なお、下記記事は大学・大学院のことを念頭に置いているが、小中高にも一定程度妥当する内容であると考えている。

 

<目次>

 

1.オンライン授業のメリットとデメリット

2.オンライン授業における教授と学生の関係

3.感想

 

1.オンライン授業のメリットとデメリット

 

(1)学校側のメリット

 まず、学校側のメリットとして、施設管理の便宜が挙げられる。学生が学校に来れば、学校側はスタッフを雇い、図書館などの施設を充実させ、それなりに受け入れ態勢を確保しなければならない。一方で、コロナ期間では、「学生の本分は学業である」という大義名分を根拠として、授業だけを提供すればよい。そうすると、学校側は施設管理にコストをかけなくてよくなるといえる。

 

(2)学校側のデメリット

 一方で、学校はオンライン授業をするための設備を整えなければならない。僕が所属している東大のロースクールでは、Zoomが使われている。Zoomアカウントを授業で使おうとすれば長時間使うオプションが必要となるため、有料である。このように、大学側が学生全員分のオンライン授業用のアカウントを用意するのには、多額の資金を投下しなければならない。

 また、教授側にITリテラシーが求められる。高齢の教授の中には、PCの操作方法が困難で、レジュメは手書きで作っているような先生もいるようだ(うちの大学にはいないと信じたい)。このような教授がオンラインに順応するのには、時間がかかる。また、多少ITリテラシ-があったとしても、オンライン上での学生とのやり取りをするにはある種の「才能」が要される(下記参照)ため、この点でも一定の割合の教授は頭を抱えることになる。

 

(3)学生側のメリット

 まず、通学しなくてよくなる点が挙げられる。首都圏にある学校に通うには、満員電車に揺られなければならない。満員電車に日常的に乗る者で、満員電車を嫌っていない者は日本に一人もいないと断言してよい(痴漢常習者は除く)。

 また、そもそも大学の近くに住む必要がなくなるため、地方から出てきた学生は実家から授業に参加することができる。これは地方に実家がある学生にとってはかなりありがたいのではないか。

 そして、オンラインであることを口実に、学生は多少授業の予習等をごまかすことが可能である。これについては後述する。

 

(4)学生側のデメリット

 一方で、学生は学校というみんなが毎日集まる場所に来ることが学校側から禁止されるため、学生同士は交流を図ることができない。大学生以上であれば友達と飲み会はできないし、部活、サークル活動、イベントなどに参加することもできない。高校生以下であれば自体はより深刻である。体育祭や文化祭といった高校生未満でなければ経験できないことを全てすっ飛ばされてしまうのである。

 

2.オンライン授業における教授と学生の関係

 

 オンライン授業では、学生よりも教授の方が狼狽するケースが多い。例えば、当初は教授・学生両方がカメラをオンにして顔を出し授業に参加することが原則となっていた。しかし、「アプリが落ちる」、「顔を出すとプライバシーが侵害される」といった様々なそれっぽい理由によって、学生側は逆に、カメラをオフにして顔を出さないのが原則となってしまった。その結果、教授は一人で顔を画面に晒し一人で喋っているような感覚に陥りながら2時間耐えなければならないのである。このようなことから、教授が学生とコミュニケーションをとることはとても困難であり、教授の才能・工夫が必要不可欠となる。

 また、上記のように学生側が顔を表示させなくてよくなった結果、学生側は教授との関係で有利となった。学生は画面の向こうでスマホをいじったりして、片手間で授業を受けられるのである。また、仮に学生が教授に指名されたときに切羽詰まったとしよう。オンライン授業においては、学生はラインで友達に助けを求めることができるし、最悪アプリを終了させたり、PCをシャットダウンしてしまうことも可能である。「回線が悪かった」とか、「重くてアプリが落ちた」とか、「PCが固まった」といえば、教授側としては何も言えないのである。

 

3.感想

 

 なんやかんやオンライン授業は学生にメリットが多いみたいな説明をしてきたが、実際のところやはり早くオフラインで授業を受けたい。友達と飲みに行きたい(実はもう行っちゃってるから、正確にはうしろめたさなしで飲みに行きたいということである。もっとも、背徳感がありながら飲みに行くことは素晴らしく楽しい。)。やりたいことは山積しているのである。