慶応2020刑法
第1.問題1
① 221条、220条後段
監禁には死の危険がありそれらに因果関係があるため
②108条、43条但書
責任の減少が認められるため
③60条、130条前段、236条1項
共犯関係の解消が認められないため
④不可罰
死亡しなかったことが十中八九といえないため
⑤130条前段、235条、130条前段、208条
Xは安全圏に入り、窃盗の機会といえないため
⑥247条
二重抵当の事例では横領罪が成立しないため
⑦不可罰
13歳未満に対する故意がないため
⑧110条1項
「公共の危険」には建造物等以外への危険も含むため
⑨159条1項
承諾は無効であるため
⑩104条後段
官憲の作用は害されたため
第2.問題2
1.XがBの写真を持ち去った行為について、窃盗罪(235条)が成立しないか。
(1)Bの写真はBという「他人の財物」である。また、「窃取」とは、占有者の意思に反し、財物を自己または第三者の占有に移すことをいう。本件では、Xは自宅にBの写真を持ち帰っており、Bの意思に反し、Bの写真の占有をXの占有に移しているといえる。よって、「窃取」といえる。
(2)使用窃盗と毀棄罪それぞれを窃盗罪と区別する見地から、窃盗罪の成立には①権利者を排除し、他人の物を自己の所有物として、②その経済的用法に従い利用・処分する不法領得の意思を要する。
本件では、確かにBの写真の所有者であるBを排除する意思はある(①)。しかし、XがBの写真を窃取したのはABの不倫関係の証拠を消すためであるため、写真を鑑賞する等の写真の経済的用法に従う意思を欠く。よって、利用処分意思はなく、②といえない。
(3)よって、Bの写真の効用を害し「損壊」したといえるにとどまり、器物損壊罪(261条)(a)が成立するにとどまる。
2.XがCの自転車を乗り捨てた行為について、窃盗罪(235条)が成立しないか。
(1)Cの自転車という「他人の物」をCの意思に反し自己の占有に移しており、「窃取」といえる。
(2)本件では乗り捨てる意思があり、もともとあった場所に返そうとしていないのだから、Cを排除し、Cの物をXの所有物とする意思がある(②)。また、乗る意思があった以上、乗車という自転車の経済的用法に従い利用・処分する意思がある(②)。
(3)よって、窃盗罪(b)が成立する。
3.よって、abが成立し、併合罪(45条前段)となる。
以上